こんにちは。記事をご覧くださりありがとうございます。

こちらでは和装時や茶道お稽古の時の扇子に、
どういった意味が込められているかを説明しています。

扇子は常に携帯しなくてはいけないのに
風を起こすために扇ぐと恥をかきます。

扇いではいけない
ということはご存じかもしれません。
ではどのような理由があるのでしょうか。

それに、
暑くて扇ぎたいときはどうするのでしょうか。

実は風を起こすこと以外に、
扇子には大切な意味が込められているのです。

初めに

扇子は日常の中に溶け込んでいます。

着物を着るときには扇子を携帯することがマナーですし、
夏祭りなどで浴衣や甚兵衛を着れば、おのずと扇子が欲しくなります。

日本舞踊を見れば歌舞伎でも、お能でも扇子を使います。

日本人と扇子にはいったいどんな関係があるのでしょうか。

扇子の成り立ち

扇子は平安時代に日本で作られたとされています。(諸説あります)

何のためにできた?

ウナギやサンマを焼くときに、扇子で仰ぎませんよね。

風を起こすだけなら、うちわの方が優秀です。

つまり扇子には風を起こす目的以外の意味が込められています。

発祥は平安時代ごろ

その時代宮中の人々など高貴な人は笏(しゃく)を持っていました。

笏といえば、ひな人形のお内裏様が持っている木の板です。アニメならおじゃるまるの主人公が持っている、ピンク色の木の板が有名かもしれません。

笏は中国から渡ってきたもので、その用途は顔を隠したり、様々な知識を必要とする儀式のときにメモをするために使われていました。

笏は1枚の細長い板ですが、そのうち同じような木の板を複数枚重ねて、ひもでつなげたものが生まれます。

それこそが扇子の原型とされています。

そのうち、たたんで持ち運びが便利という点が評価され、うちわのように風を起こす用途として広く世間に広まりました。

昔はそもそも扇ぐために作られていなかったのですね。

着物を着るときに、なぜ扇子が必要?

武士の名残です。

もともと武士は刀を携帯していました。

人の家に行くときなど、部屋に上がったときに、刀を腰にさしたまま相手と話をするのは失礼とされていました。

武器がすぐ手に取れるところにあるというのは、相手からすると気分が良くないものです。

そのため室内で相手と話をするときは、刀を腰から外して床の上に置くのがマナーでした。

時代は進み明治時代、1876年に廃刀令が出され、刀の携帯が廃止されました。

扇子を携帯するのは刀の名残?

常に腰に刀を差していたのに、それが急になくなると落ち着かないものです。

そこで刀の代わりに扇子を腰に差したことが
現在和装時の正装として残っているといわれています。

男性が刀を持つのはわかるけど、女性はなぜ?と思われるかと思います。

戦国時代、嫁に行く女性は覚悟の表れとして、
懐剣を常に帯に差していました。

江戸時代に入り、城内で刀での殺傷事件が起きたことをきっかけに
懐剣は形だけになり、扇子に置き換わったのです。

懐剣の文化は七五三の衣装や、婚礼時の着物にいまだ残っています。

和装の扇子は扇ぐためのものではない。

和装時の扇子は刀の名残であり、それが今も受け継がれている。

上記の理由から和装時の扇子は扇ぐものではないのです。

帯から扇子を抜いてパタパタと扇ぐことは、
顔の回りで刀を振り回しているようなイメージでしょうか。

ではこの扇子はただの飾りなのでしょうか。

いいえ、いろんな役割があります。

和装時の扇子の使い方

挨拶時

畳に座って挨拶をするときに、
ひざ前に置いて頭を下げる姿を見たことがありますか。

これは和装時の正式な挨拶の仕方です。

扇子をひざ前手のひら一枚分ほど離して置き、
両手を畳について頭を下げます。

これは相手と自分の間に結界を作り
相手を尊重するという意味が込められています。

ご祝儀やお礼を渡すとき

扇子に封筒をのせて渡す

。厳しい先生のお稽古事をされている方は経験があるかもしれません。

ご祝儀やお稽古などのお礼は本来、手渡しすると失礼にあたります。
それを避けるために祝儀盆や帛紗を使いますが

これらの代わりに扇子を使うことができます。

【茶道のお稽古】

お稽古では竹の骨で白い紙の茶扇子を使用します。

この茶扇子、
本来は座右の銘など自分の大切にしている言葉を書いておくのです。

そうすることによって、挨拶時やお礼を渡すときに
毎回座右の銘を意識できるようになります。

精進しよう、相手に敬意を払おう、
など様々な場面で大切な言葉を思い出す仕組みになっているのですね。

暑いときはどうする?

和装時の扇子は、扇ぐ用のものではないとわかりました。
では、暑くて扇ぎたいときはどうすればよいのでしょうか。

扇子をもう一つ用意する

まさかと思われるかもしれませんが、扇ぐ用の扇子を用意するのです。

扇子は何種類かに分類できます。

ここでは多くを書きませんが、

・祝儀扇(しゅうぎせん)

和装時に携帯する扇いではいけない扇子

・茶扇子(ちゃせんす)

お茶のお稽古時に持つ扇子。こちらも扇いではいけません。

・夏扇子(夏扇子)

夏と名前が付いていますが、一年中携帯できます。納涼を目的としていています。

夏扇子を、祝儀扇とは別に携帯します。

その際、帯に2本の扇子は刺しません。夏扇は女性ならお太鼓の中にいれたり、カバンに入れて別途持ち運びをします。

もちろん夏扇子のみを携帯するときは、帯に差しても構いません。
その際は帯の下から飛び出さないように、少し斜めにして差します。

夏扇子は祝儀扇よりも大きく、房が付いているものが多いです。

風が起こしやすく、パッと見たときに祝儀扇と簡単に見分けられるようになっています。

終わりに

最後まで読んでくださりありがとうございます。

ここまで読んでくださった方の扇子の扱いについて
少しでも疑問や不安が解消できれば幸いです。

最後にもう少しだけお付き合いいただければと思います。

ネット上には様々な情報があふれており、
それらはいつも正しい情報とは限りません

私は本物の伝統文化を、歴史的観点を含め、
わかりやすく説明できたらと思っております。

しかし伝統とは常に新しく変化する部分も含んでいます。

例えば扇子を差す位置。

歴史的観点からすれば女性は
着物と帯揚げの間に差すのが正解です。

なぜなら扇子は懐剣の代わりであり、
刀は精神がやどる大切なものとして扱われていました。

そんな大切なものですから肌身に近い帯と着物の間に差していたのです。

時代は進みお太鼓結びが流行る際、帯揚げが生まれます。
帯揚げは帯の一部なので、帯と帯揚げを割ってその間に刀を差すことはしません。

しかし現在有名な着物雑誌や、
皇族の方々さえ帯揚げと帯の間に扇子を差しています。

ではどちらが間違いなのでしょうか。

私はどちらも正解だと思います。
時代によって形が変わるのは当たり前だからです。

しかし、日本文化がどのような歴史や経緯をたどってできたかを考えたり、
それを知ることこそが大切だと思うのです。

当サイトはその機会の一つになれればと思っております。

最後まで読んでくださりありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おすすめの記事