茶花の生け方 はじめに
ここでは実際に私が茶花を生けるときにどういう手順を踏むか、写真とともに紹介しています。
手順は
- 花を決める
- 花器を決める
- 敷板をあわせる
に沿って行きます。
基礎知識として↓にまとめていますので、参考書代わりにご覧ください。
花を決める
花選びは一番大切です。
なぜなら良い花を見つけられれば、いける際にほとんど苦労しません。
極端に言うとそのまま花入れに入れて完成ということもあるのです。
それではまずは庭に出てどの花を生けるか決めましょう。
という方は多いと思います。
なぜ庭に出ることが大切かというと、
花屋の花材は茶花を生ける際難しいことが挙げられます。
しかし庭のない方も多くいらっしゃると思うので、
花は山や、屋外で栽培されているものを誰かにお願いして手に入れられることを強くおすすめします。
庭を見渡すと椿の木がありました。つぼみがたくさんで、いい枝に出会えそうな予感がします。
しかしここで焦っては後々大変になるばかりです。慎重に枝を見極めましょう。
なおかつ
葉の三拍子がそろっているもの
茶花では咲ききった花はあまり使いません。特に椿はつぼみを使用します。
つぼみはつぼみでも硬く締まったものはよくありません。もうすぐ咲きそうだなと思わせる、ふんわりとしたものを選びましょう。
茶花では葉っぱの数を3,5,7,と奇数にします。
もしつぼみが良くても、枝に2枚しか葉がなければ用いることは難しいです。
逆に4枚の葉があるとすれば、1枚減らさないといけません。
この時は1枚減らしたときの姿を想像することが大切です。
今回はピンク色の、寿老庵椿を用います。
椿だけでも生けることはできますが、今回は4月なので、
寒い冬が終わって芽吹きだした枝物とわせることにします。
このかりんの枝は上へ向かってすっとのびて、春の芽吹きのエネルギーを感じます。
こういう1本の枝は、案外椿などに合わせても様になります。
花器を決める
花が決まったら、花器を選びましょう。
実際に床の間などに置いてみて、花と合わせてみましょう。
イメージがつかみやすくなるほか、意外な組み合わせの良さも発見できるかもしれません。
今回は2つの花器を用意しました。
白い花器に先ほどとってきた花を合わせてみます。
実際に花器に当てながら、花をどんな向きに入れたらきれいかな、と試してみます。
良いと思った角度があれば、実際に花器に花を入れてみます。
せっかく良いと思った角度でも、その角度通り入れるのは難しいものです。
花器のクセや、花材の角度などは実際に何度もチャレンジして身につけるものです。あきらめずに何度も挑戦しましょう。
花がその角度で止まりにくかったり、入れてみるとイメージと違う仕上がりになったとき、
無理にこだわらず、別の花器に変えてしまうとすんなりいくこともありますよ。
敷板を合わせる
花器が決まれば、敷板はそれに合ったものを選ぶだけです。
流派によって違うところがありますが、基本はほとんど同じなので、あまり気にしなくてよいです。
組み合わせについては茶花の生け方の記事にまとめています。
霧吹きには乾いた花器の肌をよりきれいに見せる効果や、植物を瑞々しく、生命力あふれるように見せる効果があります。
これはお客さんを迎える前に、玄関周りや露地に水を打つのと同じくらい大切な作業。忘れないようにしましょう。
こ季節感を十分に取り入れた茶花ができました。
終わりに
今回は比較的手に入りやすい椿と、シンプルな枝を合わせました。いろんな決まりのある茶花ですが、一番大切にしたいことはあまり手を加えないということです。私が今回いけた花は、椿の葉っぱを整理したくらいで、ほとんど枝を曲げるなどの手を加えていません。1番初めに戻りますが、花選びさえうまくいけば、あれこれ手を加える必要がないのです。
生け花の流派には、花を生ける際に曲げたり、折ったり、花を力ずくで自分の思う形にすることが良くあります。もうお分かりかもしれませんが、これでは「花は野にあるように」と利休が残したように、茶花の心を表現するのは難しくなります。
花屋の花は難しいと書きましたが、なぜかというと花屋の花材は温室で大量の肥料とともに育てられたものが多いからです。不自然な育て方をされれば、皆不自然な姿になります。同じ長さ、同じ太さ、まっすぐの直線になった茎など…自然界にある花は、虫にかじられたり、風で折られたりと、まっすぐに伸びることは少ないものです。
狭い茶室で、無限の自然を感じるための茶花。
この記事が皆様のお役に立てれば幸いです。